
歯を失った際の治療法として注目を集めているインプラント治療。その中でも、韓国のオステム社が提供する「オステム インプラント」は、世界的なシェアを誇る製品です。

オステムインプラントとは?

オステムインプラントは、1997年に設立された韓国のオステム社が開発・製造している歯科インプラントシステムです。世界約50カ国で使用されており、アジア・パシフィック地域でNo.1の企業です。日本においても多くの歯科医院で導入されており、高い評価を得ています。オステム社は、患者さんに幸せな笑顔を提供するため、最高レベルのインプラント専門医による体系的で効果的なインプラント教育プログラムを提供しています。また、厳格な5段階品質管理プロセスを導入し、製品の安全を保障し、品質及び効果に対する高い基準を満たしています。
オステムインプラントの特徴
オステムインプラントは、世界3大メーカーであるストローマン、ノーベルバイオケア、デンツプライシロナの良いところを取り入れ、さらにアジア人の骨格に合わせた設計がされている点が特徴です。
骨結合を促進する技術
SLA表面処理
ストローマンインプラントと同様のSLA表面処理を採用しています。SLA[Sand-blasted Large-grit Acid-etched]とは、インプラント体の表面に研磨剤を吹き付けて表面を粗造化し、さらに酸処理を行うことで、骨との結合を促進する効果があります。
世界初の乾燥式親水性表面 NH
オステムインプラントは、世界初となる乾燥式親水性表面「NH」技術を搭載しています。この技術は、従来のSA表面処理とHA表面処理の長所を併せ持ち、インプラントを溶液に保管しなくても優れた血液の濡れ性を維持しながら、骨を早く形成する表面処理です。
プラットフォームスイッチング
アストラインプラントと類似した、くびれ状の構造を採用しています。プラットフォームスイッチングとは、インプラント体とアバットメントの接続部分を狭くすることで、歯周組織への負担を軽減し、骨吸収を抑制する効果があります。コニカルシール: インプラント体とアバットメントの接続部分に円錐形の構造を採用しています。コニカルシールは、接続部分の隙間をなくすことで、細菌の侵入を防ぎ、インプラント周囲炎のリスクを低減する効果があります。
アジア人に適した設計
韓国のメーカーであるため、欧米人に比べて顎の骨が小さいアジア人に適したサイズも展開しています。
多様なラインナップ
直径6mm、7mmといったワイドサイズのインプラント体もラインナップにあるため、骨量が不足している場合でも、骨移植をせずにインプラント治療を行うことが可能な場合があります。また、硬い骨から弱い骨まで対応可能なインプラントです。
高い初期固定力
スレッドの形状に工夫が凝らされており、初期固定を得やすい設計となっています。初期固定力が高いほど、治療期間の短縮につながります。
ネジの緩みにくい構造
アストラインプラントと類似した構造を採用することで、ネジの緩みを抑制する効果があります。


国際規格を取得
オステムのインプラントは、国際標準化機構(ISO)規格であるISO9001認証、EU加盟国の基準を満たす場合に付ける基準適合マークであるCEマーク、米国市場に輸出するために必要なFDA登録において、class-IIIをそれぞれ取得しており、機能性、安全性が評価されています。
インプラント治療記録カード
治療に使用したオステム製品を記録することで、製品(番号)及び使用された位置が確認できる徹底した識別情報システムを導入しています。
オステムインプラントのメリット
治療期間の短縮
SLA表面処理や高い初期固定力により、骨との結合が早く、治療期間を短縮できる可能性があります。
骨移植を回避できる可能性
ワイドサイズのインプラント体もラインナップにあるため、骨量が不足している場合でも、骨移植をせずにインプラント治療を行うことが可能な場合があります。また、上顎においては、以前サイナスリフトなど必要なケースでも、SLAで、ワイドで短いインプラントを使用すれば。 リスクのある骨移植を回避できることがあります。
歯周組織への負担が少ない
プラットフォームスイッチングを採用することで、歯周組織への負担を軽減し、骨吸収を抑制する効果があります。
細菌感染のリスクが低い
コニカルシールを採用することで、接続部分の隙間をなくし、細菌の侵入を防ぐことで、インプラント周囲炎のリスクを低減する効果があります。
審美性に優れている
天然歯に近い自然な見た目を実現できます。
噛み心地が良い
天然歯とほぼ同じような噛み心地を得られます。
安定した長期的な予後
優れた骨結合により、インプラントを長持ちさせることができます。
費用が比較的安い
世界3大メーカーのインプラントと比較して、費用が比較的安い傾向があります。
即時負荷
オステムインプラントは、即時負荷にも適しています。即時負荷とは、インプラント埋入手術後すぐに仮歯を装着する治療法です。
オステムインプラントのデメリット
歴史が浅い
ストローマンやノーベルバイオケアなどの世界3大メーカーと比較すると、歴史が浅いため、長期的なデータが不足しているという指摘もあります。しかし、長期症例も豊富で、品質も非常に高い精度を誇っており、優れた臨床実績を持っています。
症例数が少ない
世界3大メーカーのインプラントと比較すると、症例数が少ないという指摘もあります。しかし、世界中で使用されており、症例数は年々増加しています。
技術力
世界3大メーカーと比較すると、技術力に差があるという意見もあります。しかし、オステムは世界3大メーカーの特徴を取り入れ、さらに独自技術を開発することで、高い品質と性能を実現しています。
オステムインプラントの治療の流れ
- 診査・診断
口腔内診査、レントゲン撮影、CT撮影などを行い、顎の骨の状態や歯周組織の状態などを詳しく調べます。
- 治療計画
診査・診断の結果に基づいて、インプラントの種類や本数、埋入位置などを決定し、治療計画を立てます。
- インプラント埋入手術
局所麻酔を行い、顎の骨にインプラント体を埋入します。場合によっては、OneGuideと呼ばれるデジタルシミュレーションにより作製された「One Guideテンプレート」を装着して手術を行うサージカルガイドシステムを用いることで、正確かつ安全なインプラント治療を行うことができます。
- 治癒期間
インプラント体が骨と結合するまで、数ヶ月間の治癒期間を設けます。1 Dayインプラントの場合、手術当日に仮歯を装着できるケースもあります。
- アバットメントの装着
治癒期間後、インプラント体にアバットメントを装着します。
- 人工歯の装着
アバットメントに人工歯を装着し、噛み合わせの調整などを行います。
- メンテナンス
定期的なメンテナンスを行い、インプラントを長持ちさせます。
オステムインプラントと骨造成
オステムインプラントは、骨造成が必要なケースにも対応しています。
OssBuilder®︎ TSシステム
欠損した歯槽骨や顎骨に対するGBR法と組合わせて骨補填材を充填した患部を被覆し、骨組織の再生を図るスペースを確保する目的で使用される非吸収性骨再生用材料です。
A-Oss®︎
主成分は骨の成分であるハイドロキシアパタイト(HA)で、ヒト海綿骨と同様に、大孔や微小孔を多数有した多孔質体である、ウシ骨(大腿骨)に脱タンパク・ウイルス不活化処理して製された骨補填材です。
技術力
世界3大メーカーと比較すると、技術力に差があるという意見もあります。しかし、オステムは世界3大メーカーの特徴を取り入れ、さらに独自技術を開発することで、高い品質と性能を実現しています。
オステムインプラントと他のインプラントとの比較
メーカー | 国 | 特徴 | メリット | デメリット |
ストローマン | スイス | 世界シェアNo.1、豊富なエビデンス、高い信頼性 | 長期的な安定性、高い成功率、治療期間の短縮 | 高価格 |
ノーベルバイオケア | スウェーデン | 世界シェアNo.2、歴史が長い、豊富なラインナップ | 高い信頼性、多様な症例に対応可能 | 高価格 |
デンツプライシロナ | アメリカ | 世界シェアNo.3、周囲組織への負担が少ない | 骨吸収が少ない、審美性に優れている | 高価格 |
オステム | 韓国 | アジアシェアNo.1、アジア人の骨格に合わせた設計 | 比較的安価、骨結合が良好 | 歴史が浅い、症例数が少ない |
オステムインプラントに関するよくある質問
- Qオステムインプラントの寿命について教えてください
- A
適切なケアを行えば、10年以上長持ちします。
- Qオステムインプラントの手術は痛いですか
- A
手術中は麻酔を使用するため、痛みを感じることはありません。術後は、痛みや腫れが出る場合がありますが、通常は数日で治まります。
- Qオステムインプラントの治療期間はどれくらいかかりますか?
- A
顎の骨の状態や治療内容によって異なりますが、一般的には3ヶ月~6ヶ月程度です。
オステムインプラントは、世界的にシェアを拡大している、信頼性の高いインプラントシステムです。世界3大メーカーのインプラントの特徴を取り入れながらも、アジア人の骨格に合わせた設計や、優れた骨結合力、比較的安価な費用が特徴です。特に、骨量が少なく骨移植が必要な方や、治療期間を短縮したい方、費用を抑えたい方にとって、オステムインプラントは高額な治療に向き合ったインプラントメーカーとして、さらなる躍進が期待されます。