インプラント治療は、失ってしまった歯の代わりに人工の歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける治療法です。自分の歯のようにしっかりと噛むことができ、見た目も自然な仕上がりになります。

初めてインプラント治療と向き合う方にとっては、わからないことや不安があると思います。
そこで、インプラント治療について、初めての方にもわかりやすく解説します。

1. インプラントの仕組み

インプラント治療は、主に以下の3つの部分から構成されています。

1
インプラント体

顎の骨に埋め込む人工の歯根。チタンなどの生体親和性の高い素材で作られています

2
アバットメント

インプラント体と人工の歯を連結する部品

3
人工歯

セラミックなどの素材で作られた、見た目も噛み心地も自然な人工の歯

2. インプラント治療の流れ

一般的なインプラント治療の流れは以下の通りです。

  1. カウンセリング・検査

    歯科医師が患者さんの口腔内の状態や全身の健康状態を確認し、治療計画を立てます

  2. インプラント埋入手術

    麻酔をして、顎の骨にインプラント体を埋め込む手術を行います

  3. 治癒期間

    インプラント体と顎の骨が結合するまで、数ヶ月間待ちます

  4. アバットメント装着

    インプラント体の上にアバットメントを装着します

  5. 人工歯装着

    アバットメントの上に人工歯を装着して、治療完了です

インプラント治療のメリット

しっかりと噛める

顎の骨に直接固定されるため、自分の歯のようにしっかりと噛むことができます。硬いものでも、以前のように噛み砕くことができ、食事をより楽しめます。

自然な見た目

天然歯に近い素材の人工歯を使用するため、自然な見た目になります。周りの人に気づかれることなく、美しい口元を手に入れることができます。

周りの歯への負担が少ない

他の歯を削る必要がないため、周りの歯に負担をかけません。健康な歯を維持することで、将来的な歯のトラブルを予防できます。

顎の骨の吸収を防ぐ

顎の骨に刺激を与えることで、骨の吸収を防ぐ効果が期待できます。顎の骨が痩せてしまうと、顔の輪郭が変わったり、老けて見えたりすることがありますが、インプラント治療はそれらを防ぐ効果も期待できます。

発音しやすい

入れ歯のようにずれたりすることがないため、発音がしやすくなります。会話中のストレスを軽減し、スムーズなコミュニケーションを図ることができます。

お手入れが簡単

取り外しの必要がなく、毎日の歯磨きで清潔に保てます。入れ歯のように、特別な洗浄剤や道具は必要ありません。

長持ちする

しっかりとメンテナンスを行えば、30年以上使用できる場合もあります。 長く使用できるということは、費用対効果の面でも優れていると言えるでしょう。

先天性欠損歯にも対応可能

隣の歯を支えにする必要がないため、先天的に歯が欠損している場合でも治療が可能です。 これにより、これまで治療が難しかった症例にも対応できるようになりました。

心理的なメリット

自分に自信が持てるようになり、積極的な生活を送れるようになる方もいます。 口元のコンプレックスを解消することで、精神的にも良い影響を与えることが期待できます。

インプラント治療のデメリット

費用が高い

保険適用外のため、治療費が高額になります。治療費は、使用するインプラントの種類や本数、治療期間などによって異なります。

治療期間が長い

顎の骨とインプラント体が結合するまで、数ヶ月間の治癒期間が必要です。治療期間の長さは、顎の骨の状態や治療方法によって異なります。

外科手術が必要

外科手術を伴うため、身体への負担があります。手術には、痛みや腫れ、出血などのリスクが伴います。

術後のメンテナンスが必要

定期的なメンテナンスを受けないと、インプラント周囲炎などのリスクが高まります。メンテナンスを怠ると、インプラントの寿命が短くなる可能性があります。

感染症のリスク

手術に伴い、感染症のリスクがあります。感染症を防ぐためには、歯科医院の衛生管理が重要になります。

骨の状態によっては治療が難しい

顎の骨の量が不足している場合は、骨造成手術が必要になることがあります。 骨造成手術は、インプラント治療よりもさらに治療期間や費用がかかる場合があります。
※当院では全て込みになっていますので、追加料金は発生しません

インプラントの破損・脱落の可能性

インプラントは、強い衝撃や噛み合わせの不良などによって、破損したり脱落したりすることがあります。 このような場合は、再治療が必要になることがあります。

インプラントの耐久性

インプラントはチタン製で非常に耐久性が高く、平均寿命は10~15年と言われています。7割以上が20年以上使われているという報告もあります。しかし、これは適切なケアとメンテナンスを行った場合です。喫煙や歯ぎしり、かみ合わせの不具合、口腔ケア不足などは、インプラントの寿命を縮める原因となります。また、インプラント体の質も耐久性に影響します。信頼できるメーカーのインプラントを選ぶことが大切です。

インプラントの寿命を延ばすために

定期的なメンテナンス

歯科医院で専門的なクリーニングやチェックを受ける。

毎日の口腔ケア

正しい歯磨きと、歯間ブラシやデンタルフロスを併用したケアを行う。

生活習慣の改善

禁煙、歯ぎしり対策などを行う。

信頼できる歯科医院・医師

経験豊富な医師のいる、衛生管理が徹底された歯科医院を選ぶ。医師の技術や経験が不足している場合、インプラントの寿命が短くなるリスクがあります。

信頼できるメーカーのインプラント

臨床実績が豊富なメーカーのインプラントを選びましょう。

インプラント治療後のケアと感染予防

インプラント治療後は、以下のケアを行うことで感染症を予防し、インプラントを長持ちさせることができます。

毎日の歯磨き

歯ブラシやデンタルフロスなどを使い、インプラント周囲を清潔に保ちます。インプラント治療後は、歯茎がデリケートな状態になっているため、毛先の柔らかい歯ブラシを使用し、優しく丁寧に磨くようにしましょう。

定期的なメンテナンス

歯科医院で専門的なクリーニングを受け、インプラントの状態をチェックします。

禁煙

喫煙は、インプラント周囲炎のリスクを高めるため、禁煙することが推奨されます。タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させ、血行を悪くするため、インプラント周囲の組織の回復を遅らせます。

医師の指示を守る

処方された薬をきちんと服用し、医師の指示に従って生活します。手術後は、痛みや腫れが出る場合がありますが、自己判断で薬の服用を止めたりせず、医師の指示に従いましょう。

食事

手術後数日間は、硬いものや刺激の強い食べ物は避け、おかゆやスープなど、柔らかいものを食べるようにしましょう。 また、熱いものや辛いものも、傷口を刺激するため、控えるようにしましょう。

安静

手術後は、激しい運動や入浴は避け、安静にしましょう。 血行が良くなりすぎると、痛みや腫れが強くなる可能性があります。

特定の行動を避ける

整体やスパ、温泉など、術部に影響を与える可能性のある行動は、しばらくの間控えましょう。

感染の兆候に注意

手術部位が腫れたり、痛みを感じたりした場合は、すぐに歯科医院に連絡しましょう。 早期発見と適切な治療が、感染の拡大を防ぐために重要です。

インプラントのリスクを最後に確認

インプラント治療には、神経損傷や上顎洞への迷入などのリスクがあります。これらのリスクを最小限に抑えるためには、高度な技術と経験を持つ歯科医師を選び関係性を構築することが重要です